公認会計士の勉強をする前、内部統制とは何かすら知りませんでした。
(内部の統制といわれても、会社だったら色々なチェックはやってるよね・・・何か専門的なことだっけ?的な)

インターネットで内部統制と調べると一般的な記述はたくさん出てきますが、専門的な内容であるので、わかりやすい言葉で説明したいと思います。

目次

内部統制とは何か

内部統制とは、後ろに隠れている言葉を補ってみると「(企業)内部(を)統制(する仕組み)」だと思います。

では、なぜ、会社は内部統制を構築するのでしょうか。

内部統制の目的

具体的には、内部統制を構築する目的は以下の4つが示されています。

  1. 業務の有効性及び効率性
  2. 報告の信頼性
  3. 法令等の順守
  4. 資産の保全

4つの目的を個人的に言い換えてみると、以下のような感じと思います。

①限られたリソースの中、業務を効果的、効率的にするために
②財務諸表や管理情報を正確に作るために
③法令を守るために
④資産を守るために

会社内部の統制活動(仕組み)を整備しよう!


業務は効率的にやりたいし、情報は正しく作るほうが望ましいし、法律は守るべきだし、大切な資産は守りたいので、あるほうがいいに決まってます。

従って、経営者の方々には、内部統制は企業運営上、重要なものであるという認識を持っていただきたいと思います。
なお、会社法(362条 4項 6号)、金融商品取引法(24条の4の4 1項)で規模の大きな会社や上場会社等、一定の要件を満たす会社は内部統制を整備することが求められています。

内部統制を構築するためには費用がかかる

内部統制には4つ目的があり、達成するほうが望ましいものの、構築するためには費用がかかります。

例えば、書類をチェックするために人を雇う(チェックの時間を捻出する)必要がありますし、不正を機械的に防止するためのシステムを導入した場合には、システム導入費、維持費がかかってきます。

従って、内部統制を完璧に構築することは現実的に不可能です。一方で、最低限達成すべき水準もあります。
そのため、企業にとって必要・十分な水準を設定していくことになります。

内部統制を構築する際はまず、企業が想定するリスクを評価する

では、どういった内部統制を構築するべきか。という話になります。

上場を目指すうえで、必ず構築するべき内部統制もありますが、基本的には企業にとって必要な内部統制は、それぞれの置かれる経営環境によって異なると言えます。

上場直後の企業がトヨタ自動車と同水準の内部統制を構築することは費用的、人的リソース的にも現実的ではないですし、サービス業、製造業といった業界によっても構築するべき内部統制は相違します。

従って、会社のビジネス上、どこでミスや不正が起きうるのか、そのミスや不正がビジネスに与える程度はどの位あるのか。経営者として評価したうえで、内部統制を構築していくことになります。

上場準備会社は情報を整理することからスタート

上場準備会社では、初めは規程もなければ、ルールもないのが通常であるとおもいます。
なので、初めは情報を整理するところからスタートするのが良いのではないでしょうか。

具体的には、
企業の各プロセス(売上を計上するプロセス、経費を払うプロセス等)を可視化
資料(データ)の整理整頓

などです。
そうすることで、ミスや不正が起きる可能性があるかを可視化でき、必要資料の有無を整理していくことができるため、結果として、効率的な内部統制の構築になるのではないかと考えています。

形骸化した内部統制は無意味

なお、内部統制の規程や証跡の整備はきちんとしているものの、有効に機能していないこともあります。

例えば、「すべて支出は社長の承認が必要」という内部統制を作り、社長が1日かけて承認をするとすれば、不正な出金を防止するという目的は達成されますが、効率の観点からはよいとは言えません。
また、内容を確認せずに承認する仕組みであった場合には不正な出金を防止することもできません。

従って、設計した内部統制が形骸化した時には内部統制は作業でしかなく、本来の目的は達成されず、無意味となってしまいます。

非上場企業であっても一定の内部統制は大切

内部統制の目的からすると、中小企業でも仕組みはあったほうが良いものです。

即ち、

出金は社長が承認したものだけが行われるべき
給料の金額は正しいことを確認したうえで出金されるべき
取締役会が設置されている会社では、重要な設備投資は、取締役会の決議を経て実行されるべき

だからです。

ですので、(文書化の程度はどうあれ)非上場企業であったとしても、ルールとして整備していくことが望ましいです。

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