中小企業における個人的な管理業務の基本的な考え方をメモしておきます。
会社は多くの名もなきバックオフィス業務であふれている
小規模な会社であったとしても様々なバックオフィス業務を抱えています。
例えば以下のようなものがあり、これらのバックオフィス業務は直接的に事業に結びつかない業務であることが多いです。
- 経理
- 取引先への支払
- 従業員の立替経費の支払
- 取引先への請求書の送付
- 売掛金の回収
- 税金の納付
- 小口現金の管理
- 利害関係人(経営者・金融機関・投資家など)への報告
- 労務
- 入社・退社手続
- 給与計算
- 勤怠管理
- 社会保険の手続
- 雇用保険の手続
- 各種書類の管理
- 法務
- 弁護士との法務相談
- 取引先との各種契約書の管理
- 株主総会
- 取締役会
- 登記手続
それ以外にも、消耗品の購入等も含めれば、名前のない庶務といわれる管理業務は山ほど存在していることでしょう。
バックオフィス業務は後回しになりがち
会社を設立してすぐの会社の場合、売上を上げるための営業活動や製造活動等に注力することになろうかと思います。
また、創業初期はバックオフィス業務を専属で対応するスタッフを雇用するだけの余力もなく、全て社長が対応しないといけない状況となり、経験がないバックオフィス業務は、後回しになりがちです。
その結果、以下のような課題が生じる可能性があります。(ありませんか?)
- 未経験業務をダブルチェックなどもなくやるため、遅延、漏れ、誤りが発生する
- 年に1度だけしかやらないような非定常的な作業等をするときは、作業時間がかかってしまう
- 文書管理が行き届かず、必要な書類を探す際に時間がかかってしまう、紛失してしまう
- 自分が対応できないタイミングが発生した時、代わりに対応してもらうことが困難となる
つまり、バックオフィス業務が非効率になればなるほど、結果的に本業(営業活動や製造活動等)に使える時間が少なくなるという悪循環に陥る可能性があると考えています。
また、ある程度成熟した中小企業であったとしても、バックオフィス業務への資源を投入しなかった結果、経営状況をタイムリーに把握することができず、経営状況の変動要因を定量的に把握できないというリスクも想定されます。
利益を増加させていくことによって、バックオフィスに掛けることができる予算も増やすことができるため、一義的には売上を増やしていくことが重要であると個人的に考えています。
効率化のためのツールはたくさんあるが使いこなすにも知識とコツがいる
バックオフィスの課題を解決するため、バックオフィスを効率的に行う為のツールが開発されており、各システムを導入すれば、業務効率を改善することは可能と考えられます。
しかしながら、各システムは導入時において、どんなシステムであっても初期的な設定が必要、かつ、設定のために調べないとわからないことが発生します。また、システムアップデートにも都度対応していくことで活用していくことができると言えます。
従って、システムを導入するとしても、適切な運用ができない場合、結果として、思ったよりも効率的ではない。という可能性もあります。(ありませんか?)
当然、システムを導入すると維持費がかかるため、どの程度、そのバックオフィス業務に負担感を感じているか。が重要です。即ち、費用(システム導入費用、ランニングコスト)と効果(x時間の作業時間の短縮、ミスの未然の防止など)を比較検討したうえで導入すべきものです。
業務の効率化以前に情報の整理整頓を行うべき
システムを有効活用するためには、資料のPDF化やCSVデータの利用など、一定のITリテラシーが求められます。
しかしながら、様々な会社の資料の開示を依頼させていただく中で、資料の開示等が遅い、紛失して存在しない場合に理由を尋ねると、以下のような回答を受けることが多いと感じます。
- 資料はほとんど紙で管理している
- システムの使い方を把握していない(CSVでデータ出力できないなど)
- 共有フォルダ内が管理がなされず、雑然としており、データを見つけるのに時間がかかる
- そもそも、エクセルやワードが苦手で管理面で活用していない
即ち、業務が効率的でない理由は「業務の整理以前に情報が整理されていないから」ということだろうと推察されます。
従って、多くの会社では、システムを活用する前提条件がそろっておらず、活用しきれていないのだろうと感じております。
バックオフィスを外部委託するという選択肢について
「税理士に記帳をすべて代行してもらう」「社労士に給与計算をしてもらう」等、バックオフィス業務を外部に委託するという選択肢も考えられますし、実際に外注しているケースも多いかと思います。
しかしながら、以下のような課題も考えられます。
- 委託先の品質(ちゃんとやってくれるのか?担当者が変わったら品質は安定するのか?)
- 自社にノウハウが蓄積しない(いざというとき、イレギュラー対応が難しくなる?)
- そもそも、バックオフィスの前提条件である資料の整理整頓は外注しにくい(整理整頓した後の情報が外部に委託される)
- 管理資料の作成等、安価に外部委託することが難しい業務もあるため、全てが外注できるわけではない
従って、原則的に自社でバックオフィス構築するほうがメリットが多いのではないかと個人的には考えています。
一方で、システムを導入するプロセスで、外部の専門家に協力を仰ぐという方法もあるかと思います。
専門家の知識を借りて、効率的にシステムを利用することで、バックオフィス体制の強化をしつつ、毎月の費用は抑えることができる可能性があると考えられます。
逆に、会社設立初期段階では、全て外部委託したうえで、本業(売上拡大)に集中するという選択肢も経営戦略上は考えられます。
経理プロセスの改善だけではバックオフィス業務は減らない
コンサルティング企業が経理プロセスを整理するサービスを提供していることも多いと思いますが、経理プロセスは「前段階である」情報整理がきちんとなされたうえで実施することで効果を発揮するものであり、経理プロセス「だけ」を整理することでは、バックオフィス業務は劇的に改善するとは思っていません。
私の取り組み
弊所では、業務効率を上げるため、徹底的に資料(紙・データ)の整理整頓を行ってます。
そのうえで、クラウド会計等のWebベースのシステムを利用することによって、以下のようなメリットを実現し、本業に取り組む時間を増やす活動を行っています。
- 手動の経理処理をほぼ無くす。
- どこでも資料が見られる環境を作る。
- タイムリーな財務情報の把握を実現する。
バックオフィス業務の整理整頓で悩まれている方は一度、ご相談ください。
税務・経理・総務・法務・労務(法務専門家や社労士が行う業務は除く)等のバックオフィス業務の業務設計を一手に引き受けます。