株主総会についての概略を記載します。
取締役・取締役会の基礎知識はコチラを参照ください。
株主総会・取締役会などの機関についての基礎知識はコチラを参照ください。
また、実際の検討を行う際は、各専門家にご相談の上でご検討ください。

目次

株主総会の種類

会社は毎事業年度の終了後一定の時期に株主総会を行う必要があります。必ず実施が必要とされる株主総会は定時株主総会と呼ばれます。(会社法296条)

会社法上、一定の時期に行うとされているため、具体的な期限は設けられていません。

しかしながら、法人税の申告書の提出期限が一般的な会社で2か月、延長の特例を受けている会社で3か月となっているため、非上場会社においては、2か月以内に株主総会を行うことが一般的になっています。

また、議決権行使のための基準日を定めている場合、基準日株主が行使できる権利は当該基準日から3か月以内に行使するものに限られています。そのため、上場会社では3か月以内に株主総会を実施することが一般的となっています。

参考:法務省:株主総会の開催時期について

これに対して、必要に応じて実施する株主総会は臨時株主総会と呼ばれます。
なお、臨時株主総会は決議される内容が多種多様に及ぶという点で定時株主総会とことなりますが、会社法上のルールは同じです。

株主総会の各種手続等

株主総会招集通知

原則、株主に出席の機会と準備の余裕を与えるため、株主総会の日の2週間前までに総会の日時・場所・総会の目的事項を記載した招集通知を株主に発出しなければなりません(会社法299条1項)。

取締役会設置会社や書面投票・電子投票による議決権行使を定めている場合は、書面・電磁的方法で招集通知を発出しなければなりません。

従って、取締役会非設置会社で、かつ、書面投票・電子投票による議決権行使を定めていない場合、招集通知は、書面・電磁的方法である必要はなく、口頭や電話でも問題ありません。

なお、全株主の同意がある場合、招集手続を経ることなく、開催することができます。(会社法300条)

株主総会の通知を省略するだけの制度であるため、総会自体は開催しますので、後述する書面決議制度とは、異なります。

定時株主総会の招集通知発出時に提出すべき資料

取締役会設置会社では、定時株主総会の招集通知に際して、取締役会の承認を受けた計算書類、事業報告等を提供する義務があります。(会社法437条、会社法施行規則117条3号、133条)

即ち、取締役会非設置会社であれば、これら書類を招集通知に添付することは会社法上、求められません。

取締役等の説明義務

取締役・監査役・執行役などは株主から特定の事項について、説明を求められた際、原則として、当該事項について必要な説明する必要があります(会社法314条)。

会社の秘密情報に関する事項など、株主の共同の利益を著しく害する場合などは、説明を拒絶することができます。

株主総会決議

株主総会の決議は、「普通決議」、「特別決議」、「特殊決議」等があります。
主要な決議要件は、コチラをご参照ください。

会社法上、代理人による議決権行使が認められています。その場合、代理人は、株主総会毎に代理兼の授与を受けたうえで、代理権を証する書面(委任状)を会社に提出しなければなりません。(会社法310条)

書面決議(みなし決議)

株主総会で決議すべき提案について、全株主書面・電磁的記録によって当該提案に同意する意思表示をした場合は、当該提案を可決する旨の株主総会があったものとみなされます(会社法319条)。

既に提案に対して同意が取れている事項について、時間と費用をかけて株主総会をする必要がないと考えられているためです。従って、非上場企業では、書面決議が採用されるケースが一般的と考えられます。

会社法上、電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるもの(電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。)をもって調製するファイルに情報を記録したもの)をいう。とされています(会社法26条2項、会社法施行規則224条)。

なにやら難しい・・・

平たく言うと、磁気ディスク等(磁気テープ、ハードディスク、クラウド等が該当)が該当し、全株主からの同意が磁気ディスク等で保存されれば、良いということになります。

従って、株主総会の書面決議は、電子メール等で同意を得たうえで、その情報を磁気ディスク等に保存さえできていれば、実施することができると考えられます。

議事録の作成義務

株主総会の議事は、議事録として残す必要があります(会社法318条)。

なお、株主総会については、株主総会の議事録の作成を行った取締役を記載することで足りるとされています。そのため、署名をするように定めたものの拒否された場合であっても議事録は有効であるとのことです。(江頭憲治郎 株式会社法)。

また、議事録の署名は「記名押印」もしく「自筆」のいずれかとなります。
株主総会の議事は、議事録として残す必要があります(会社法318条)。

なお、株主総会については、株主総会の議事録の作成を行った取締役を記載することで足りるとされています。そのため、署名をするように定めたものの拒否された場合であっても議事録は有効であるとのことです。(江頭憲治郎 株式会社法)。

また、議事録の署名は「記名押印」もしく「自筆」のいずれかとなります。
記名押印する場合、どの印鑑を採用するかが問題となりますが、原則として、実印ではなく認印で問題ないとされています。(※登記手続に関連する場合等、実印が必要な場合もあります。)

議事録は株主総会の日から10年間、本店に備え置かなければなりません。
また、株主や債権者などはいつでも、閲覧することを請求することができます。

書面決議(みなし決議)であったとしても、議事録を作成必要があります。

主な記載事項は以下の通りです。(会社法施行規則72条、101条)

  • 株主総会が開催された日時及び場所
    これには、当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含むとされています(Zoom等を用いて、株主総会に参加するような場合)。
    また、開会時刻、閉会時刻も日時と合わせて、記載するべきと考えられます。
  • 議事の経過の要領及びその結果
  • 会社法の規定により株主総会において述べられた意見又は発言がある時はその意見又は発言の内容の概要
  • 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
  • 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
  • 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

オンライン+リアルのハイブリッド株主総会を行う場合、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会すると同等に適時的確な意見表明がお互いにできる状態となっている必要があるため、議事録にも情報伝達の即時性と双方向性の確認の事実を盛り込むことが望ましいとされています。

定時株主総会の決議事項

会社法上、原則として、計算書類(財務諸表)は株主総会において、承認を受ける必要があります(会社法438条2項)。

それ以外に決議が行われる事項としては、以下のような事項が想定されます。

  • 剰余金の処分
  • 取締役の選任
  • 取締役の再任

取締役の任期は原則として、選任の日から2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなっています(任期に関してはコチラを参照ください。)。従って、任期が満了するタイミングで、重任するための決議が必要となる点に留意が必要です。また、重任の決議は登記が必要となっている点にも注意が必要です。

Share this link!
  • URLをコピーしました!
目次